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2005.05.10

野菜、果物摂取と大腸がん

 3月9日の「肝臓がんとコーヒー研究成果の本当の意義」に書いた、「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究班 JPHC(Japan Public Health Center-based prospective Study)」が、また新しい調査結果を発表しました。(2005.5.10朝日新聞朝刊)。

 調査人員9万人、調査期間10年という大規模調査だけに、この結果は傾聴に値します。今回の結論は、「野菜果物をよくとっていても、大腸がんになるリスクは低くならない」というものです。

 ただし2002年には「野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について」という調査において、「野菜・果物は少量の摂取で胃がんの発生率を下げる」という結論を出していました。

 この二つの相反する結論にとまどいを感じる方も多いのではないかと思います。同じ消化器の胃と大腸なのに、なんで結論が違うのでしょうか。その理由については、いつか解説される日が来るものと思いますが、個人的には次の二つの理由が挙げられると思います。

 一つの理由は次のように考えられます。

 胃においては、食物は物理的攪拌と初期消化が行われるだけであるのに対し、大腸では、それ以前の段階で消化酵素と腸内細菌叢による消化吸収がほぼ完了しています。 ということは野菜果物に「抗がん成分」があるとしても、胃ではその効果が発揮できるのに、大腸では既にその効果が失われてしまっているのではないかと思われます。

 もう一つの理由は次のように考えられます。

 ほかの「がん」にも言えることですが、多くの「がん」は遺伝が関係しているように思えます。まだ証明できている「がん」は、少ないのですが、大腸がんは「遺伝」が疑われている「がん」の一つです。ということは、野菜果物といった食べ物の種類と大腸がん発生との因果関係は、そもそも存在しないのではと考えます。

 ただ世界保健機構(WHO)と食糧農業機関(FAO)合同での2003年の報告では、「野菜果物はわずかながら予防効果がある」としていますし、野菜果物の摂取は、多くの循環器疾患の予防に有用であることがわかっているので、「野菜・果物摂取は奨励すべき生活習慣」であることに変わりありません。

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