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2006.03.30

どんな“医療”もリスクを伴う可能性はある

 3月30日付けの「日経ライフスタイル健康」に、掲載されていた記事です。(筆者は真野俊樹氏)。 私がこのブログやホームページに、いつも書いている内容と同じ趣旨なのですが、医師の中にも同じ意見を持っている方がいるようです。
 多くの方に知っていて欲しい記事ですし、サイトが削除されることもありますので、いつものように全文引用しておきます。

 いたるところ“健康”ブームですが、ここでひとつ警鐘を鳴らしておこうと思います。健康は、“医療”行為や“予防”行為で達成されたり、維持されるものです。その中には、「食事に気をつける」「運動する」といったものから、「サプリメントを飲む」「人間ドックを積極的に受ける」「薬を飲む」といったものまで、さまざまな行為が含まれます。

 実は、こういった行為のほとんどすべてに、薬剤でいう副作用のようなリスクが伴うことは意外に知られていないのです。逆に今まで、毒だ、薬害だといわれていたものに効果が見つかったりもするものなのです。 
 
 「サリドマイド」という名前は聞いたことがあると思います。サリドマイドは1957年に西ドイツ(当時)のグリュネンタール社から発売された睡眠薬の名称で、もともとはてんかん患者の抗けいれん剤として開発されました。

 当初、副作用も少なく安全な薬と宣伝され発売されたのですが、その後、これを服用した妊婦から手足が異常に短い先天異常児が多く生まれることが分かり、発売中止となったものです。日本でも被害者は300人以上に上り、薬害の代表として挙げられています。

 ところがこの薬剤が、難治性の血液疾患である、「多発性骨髄腫」(注)の治療薬として復活しそうなのです。癌細胞が増える際には、がん細胞に栄養や酸素を運ぶため新たな血管が必要です。この際に新しい血管が増えることを「血管新生」といいますが、サリドマイドには、がん組織への毛細血管の成長を阻害する作用があるため、その結果、がんへの治療効果があることが分かってきたのです。

 さらに1989年には、がん患者の体力消耗や食欲不振の原因となる腫瘍壊死因子α(TNF-α)の阻害作用が発見されました。サリドマイドは、つい最近、多発性骨髄腫への治験が終了したところなのです。

 逆に、メディアなどでもてはやされているものでも、リスクがある場合があります。例えば、「PET検査」。PETとは、ポジトロン・エミッション・トモグラフィ(Positron Emission Tomography)の略です。この検査は、生体内の糖代謝を反映する18F-fluorodeoxy glucose(FDG)という物質が悪性腫瘍によく集まることが注目されてから、がんの早期診断にいいのではないか――ということで人間ドックで多用されるようになりました(参考記事:「話題の『PETがん検診』体験ルポ」)。

 米国では、主に高齢者を対象とした保険システムであるMedicareが、一部のFDG-PET検査の保険償還を認めてから、FDG-PET検査が急増しました。1997年から2年間に年間の検査件数が倍増してきたという背景もあります。

 しかし、米国での保険適用は、がんの転移の発見が目的であり、必ずしもがんの早期発見が目的ではないのです。日本でも2002年4月の診療報酬改訂で、PET検査は保険適用となりました。しかし、米国でも日本でも、PET検査による人間ドックが推奨されたわけではありません。

 最近では、人間ドックについてはCTやMRIなど他の検査との併用が普通になっていますが、一時期はPET-Firstなどと言って、「がんが疑われるとすべてPETを行う」といった風潮も見られたことは事実です。しかし、PETでがんが見つからなかったことは、がんがないことを意味しません(参考記事:「人気のPETがん検診にも“取りこぼし”」)。

 また、PET検査ではさほど問題にならないと言われますが、放射線の被曝も重要な問題です。PET検査1回あたりに受ける放射線被曝量は、人が普通に暮らしていて、自然界から受ける年間放射線量とほぼ同じです。なお、胃のX線検査では、1回の検査でおよそその2倍とされています。 

 ですから、医療に関しては「すべて100%ではない」と考える思考が重要です。“確率論的思考”とでも言いましょうか。たとえとして不適切かもしれませんが、宝くじに当たる確率は低いながらも存在しているわけで、それと同じように医療でトラブルが起きる可能性も考えねばならないわけです。

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2006.03.07

「ASAHIパソコン」の休刊と家内のパソコン、ケイタイ事始

 「ASAHIパソコン」が18年の歴史を閉じました。最終号の巻頭にはそれぞれの時代のトピックスが並び、「遺言」と称して業界への注文が、またメーカー、執筆者、読者などが「贈る言葉」を書いています。

 その中で、「残念です」という言葉に混じり、「良い決断だ」という言葉もいくつか見られました。その理由としてパソコンのコモディティー化(日常品化)があげられています。たしかに若者がいる家庭のほとんどにパソコンが入り、最初に設定さえしてもらえれば、誰でもメール、ネット閲覧が簡単に出来るように、パソコン自体が「やさしく」なってきたのです。

 私自身、四半世紀の間パソコンの歴史を垣間見てきましたが、この数年は「年に数回ある新製品の発表に胸が躍る」ということもなくなりました。それだけパソコンは成熟し、「完成の域」に達してきたのでしょう。

 数年前までは、創刊号以来とり続けている、「日経パソコン」だけでは物足りなく、新製品発表の時期には「日経クリック」(これも休刊した)を、新聞広告で面白そうな記事を見つけた時には、「ASAHIパソコン」などを買っては、わくわくしていました。

 これからは「ネットと放送とケイタイとの融合の時代」に向けて、パソコンも新たな方向性を見つけることが必要になってくるのでしょう。それに合わせて「ASAHIパソコン」も帰ってくるのでしょうか。

 話が変わりますが、家内がパソコンとケイタイを始めました。今までは「必要ない」の一言で見向きもしなかったのですが、最近「行政手続のネット化」のニュースと、少なくなった公衆電話の不便さから、「時代に乗り遅れては」と、意識が変わってきたのでしょうか。 

 2月10日に書いたようにパソコンを新調した時、今までのMe機を家内専用機として、「払い下げさせて頂いた」のです。5年前のノート機で(当時のノートとしては最先端の仕様でBTOしたもの)、音は出ないし、しょっちゅうフリーズするし、無線LANカードは折れてしまい抜き差しが出来ないといった、「満身創痍」ですが、メールとネット閲覧では問題ありません。

 専用のウエブメールアドレスを取得し、使いやすいように設定し、見やすいようにフォントサイズを大きくし、操作法を少し教えたら、何の苦もなく娘とのメール交換や、ニュースを見て楽しんでいます。
 
 また時期を同じくして、家内は初めてケイタイを買いました。電話専用機ですが、まもなく「メールも使えるのにしようかな」と言い出すのでないかと心待ちしています。

 時代の変化を感じさせる二つの事件?でした。

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2006.03.04

PET検診、がんの85%見落とし

 昨日3月3日付けの「YOMIURI ONLINE」のこの記事は、現在の「がん検診のあやしさ」を裏付けるものとして注目されます。

 画像検査PET(ペット、陽電子放射断層撮影)という、最先端の検査法については、その検査精度のすばらしさ、体への負担の少なさが強調され、がん検診の決定打として、装置を購入する医療機関、検査機関が増えているようです。しかし数億円もする機器価格を償却するために、ひとり数十万円という高額な検査費用が掛かります。

 そして検査人数を「かき集める」目的で、異様な募集が行われています。旅行会社とタイアップした「PETツアー」とか、検査後の「フランス料理の食事」とか、「ゴルフ」など、庶民には縁遠い世界が、公然と「医療の名」で行われています。

 この「切り札がん検査」が、この程度の精度であり、検診部長が、「PETでは『小さながんを見つけやすい』と言われてきたが、早期がんでは他の検査に比べ検出率が低かった。PET検診の意義は小さいのではないか」とまで言っていることが公表されたのです。

 これをどう思いますか。

 私のホームページの次の項目を参照下さい。

 「健康や医療が産業と結びつく不幸」:

 「厚生省研究班のがん検診有効性疑問論を考える」:

 検査項目を増やせば、病気ではない異常も見つかってしまう」:

 ニュース記事は削除されますので全文引用しておきます。

 

PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター調査

早期発見 切り札のはずが……

 国立がんセンター(東京)の内部調査で、画像検査PET(ペット、陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが分かった。PET検診は「全身の小さながんが一度に発見できる、がん検診の切り札」と期待され、急速に広がっているが、効果に疑問符がついた形だ。

 PETは、放射性物質が含まれた薬剤を注射し、がんに集まる放射線を検出してがんを発見する装置。

 同センター内に設置された「がん予防・検診研究センター」では、2004年2月から1年間に、約3000人が超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受け、150人にがんが見つかった。

 ところが、この150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかった。

 がんの種類別では、大腸がんが見つかった32人のうち、PETでもがんと判定された人は4人(13%)。胃がんでは22人中1人(4%)だった。

 PETによる発見率が比較的高いとされる肺がんでも28人中6人(21%)、甲状腺がんで11人中4人(36%)にとどまった。

 PETは1994年ごろから使われ始め、現在は100近くの医療機関が導入、多くでがん検診にも使われている。がん検診には保険がきかないため、10~20万円程度の費用がかかる。日本核医学会の調査では、2004年9月の1か月間だけで4600人が受診した。PET検診と温泉ツアーなどをセットにした旅行企画も売り出されている。

 国立がんセンターの村松幸男検診部長は「PETでは『小さながんを見つけやすい』と言われてきたが、早期がんでは他の検査に比べ検出率が低かった。PET検診の意義は小さいのではないか」と話している。

 民間医療機関のがん検診では、がんのうちPETで検出されたのは64%、48%などのデータがある。国立がんセンターの超音波、CTなどを併用した検診では、がん発見率は一般の医療機関に比べ高いため、相対的にPETでの発見率が低下した可能性がある。

 PET(Positron Emission Tomography) がん細胞が糖分を多量に消費する特性を利用し、放射性物質と糖を含んだ薬剤を注射して放射線を検出し、がんを映し出す画像診断装置。全身を一度に撮影し、他の画像装置では発見しにくい転移も発見できる。脳卒中や心臓病の検査にも使われる。

(2006年3月3日  読売新聞)

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